オフィスインテリアの色彩計画②

視覚的にも心理作用的にも、それぞれに異なる性質を持つ「色」。組み合わせることで印象が変化し、調和していれば見る人に好感を与えますが、調和していなければ不快な印象を与えてしまうものです。

当然のことながら、オフィスや教室をプランニングする場合においても、利用者に好感を与える色の組み合わせを意識する必要があります。1つの空間を構成する内装や家具、小物などに色の調和と統一感があれば、「おしゃれ」「センスが良い」といった印象を与えやすく、また、その空間の快適性や機能性にも良い影響をもたらします。

このページでは、調和する色の組み合わせ方を論理的に考える方法についてまとめています。

*色の基本情報については「オフィスインテリアの色彩計画①」をご覧ください

1. 配色の調和について

配色とは、色を組み合わせること。そして、配色で重要なのは「調和した状態にある」ことです。

調和する色を選ぶとなると「自信がない」「センスがないから・・」と臆してしまいがちですが、優れた配色を考える上で大切なのは、才能やセンスだけではなく、その仕組みやルールを理解することです。

色彩調和については、古来多くの学者により研究され様々な理論がありますが、わかりやすいものとして、それらを集約したアメリカの物理学者ジャッドの4つの原理があります。

秩序の原理

色空間の中で、一定の規則による組み合わせは調和するという考え方。色相環上で直線、幾何学模様を描く関係性を持つ配色は調和しやすい。

なじみの原理

見慣れた配色、特に自然界に存在する配色は調和するという考え方。夕焼け空、海と青空など、自然の風景の中で見られる色連鎖の配色は調和しやすい。

類似性(共通性)の原理

似た要素を持つ色同士は調和するという考え方。色相あるいはトーンに類似性(共通性)がある配色は調和しやすい。

明瞭性の原理

違いが大きい色の組み合わせは調和するという考え方。色相や明度の差がはっきりして明瞭な配色は調和しやすい。

以上がジャッドの4つの原理です。

もちろん、色の印象には個人差があり、絶対的な正解があるわけではありません。しかし、多くの人に共通する傾向として、こうした原理を知っておくと配色を考える際の参考になります。

次に、これらの原理にあてはまる配色パターンをいくつか紹介します。

2. 配色のパターン

色がそれぞれ異なるイメージを持つように、配色(組み合わせ)もまた、パターンによって印象や効果が異なります。

ダイアード配色|Dyad

ダイアード配色 補色の関係

色相環で対極する位置にある色=補色を組み合わせるダイアード配色。Dyadには「対になる2つ」、この場合「対になる色」を意味します。英語で”補色”を意味するコンプリメンタリー(complementary)とも呼ばれます。

補色の組み合わせは互いを引き立たせるため、インパクトを出したいときに効果的です。高彩度での組み合わせは目を疲れさせ、落ち着かない印象になるので注意が必要ですが、面積比を調整しながら取り入れることで、印象的でまとまりのある配色になります。

トライアド配色|Triad

トライアド配色

色相環に正三角形を内接させ、その3つの頂点の色を組み合わせるトライアド配色。Triadには「3つの要素から成る組み合わせ」という意味があります。

バランスが良く安定感のある組み合わせで、にぎやかな印象を与えます。ダイアードの場合と同じく、高彩度での組み合わせでは落ち着かない印象になりがちなため、空間に適用する際には、トーンの選び方や面積比で調整する必要があります。

スプリットコンプリメンタリー配色|Split complementary

スプリットコンプリメンタリー配色

色相環上で補色関係にある色の一方を左右に分割(スプリット)させて組み合わせるスプリットコンプリメンタリー配色。トライアドが正三角形であるのに対し、こちらは二等辺三角形の位置関係になります。

補色の類似色と組み合わせることで対比が和らぐため、インパクトがありながらも、まとまりを感じさせる配色です。

アナロガス配色|Analogous color

アナロガス配色

色相環で隣り合う色を組み合わせるアナロガス配色。Analogous colorとは”類似した色”を意味します。
夕焼けの空や海、植物など自然の風景にも見られる組み合わせです。

連鎖的な色は視覚的になじみがあり、自然な印象でまとまりやすい配色です。インテリアに取り入れやすい配色でもあります。

ナチュラルハーモニー

ナチュラルハーモニー ナチュラル配色

ナチュラルハーモニーとは、自然界に見られる色彩調和を模した組み合わせで、黄に近い色を明るく、青紫に近い色を暗くする配色のことです。

これは「自然光の下では光が当たる部分は黄みを帯び、影の部分は青紫みを帯びて見える。この自然な色の関係性が認知できる状態が調和している」とした自然科学者ルードの理論が元になっています。

自然界に見られる配色に近いため、違和感が少なく、インテリアにも取り入れやすい配色です。

ドミナントカラー配色|Dominant color

ドミナントカラー配色

同一色相で異なる複数のトーンを組み合わせるドミナントカラー配色。Dominantとは、”支配的(優勢)な”を意味します。

主となる色相の印象が全体を支配するため、色の心理効果を空間に取り入れたいときや、テーマカラーを強調したいときに適した配色です。明度差や濃淡のみで変化をつけるため、多色でも統一感があります。

トーン オン トーン配色|Tone on tone

トーンオントーン配色

ドミナントカラーの中でも特に明度差を大きくとって変化をつけるトーンオントーン配色。

色相に統一感がありながらも陰影のようなコントラストがあり、主になる色を印象付けながらもメリハリを出したいときに適した配色です。

ドミナントトーン配色|Dominant tone

ドミナントトーン配色

同一トーンの異なる色相を組み合わせるドミナントトーン配色。先述のドミナントカラーが色相を統一するのに対し、ドミナントトーン配色は、トーンを統一します。

ライトなら爽やか、ダークなら大人っぽい等、それぞれのトーンが持つイメージが強調されるため、インテリアの雰囲気づくり適した配色です。複数の色相の組み合わせでもまとまりのある印象を与えます。

トーン イン トーン配色|Tone in tone

トーンイントーン配色

ドミナントトーンの中でも、明度が近い色相を組み合わせるトーンイントーン配色。

異なる色相でも統一感が出しやすく、トーンの持つイメージが強調されやすい配色です。

トーナルカラー配色|Tonal color

トーナルカラー配色

ドミナントトーンの中でも特に、純色に灰色を混合した中間色・濁色のみで組み合わせるトーナルカラー配色。ソフト、ダル、ライトグレイッシュ、グレイッシュなど、くすみのあるトーンで揃えて組み合わせます。

控えめで落ち着いた印象を与える配色です。主張し過ぎず、素朴で穏やかなイメージなります。

カマイユ配色、フォカマイユ配色 Camaieu、Faux camaieu

カマイユ、フォカマイユ配色

色相、トーンの近似色を組み合わせるカマイユ配色。Camaieuはフランス語で”単色画法”を意味します。

ほとんど同一色に見えるほどの微妙な差の色を組み合わせのため、元になる色が強調される配色です。

カマイユより少し色相やトーンに変化をつける配色は、”偽の”という意味のfauxを前につけてフォカマイユ(Faux camaieu)と呼ばれます。調和の中に妙味を出しやすい配色とも言えます。

以上が代表的な配色パターンです。

配色にはさまざまな考え方がありますが、重要なのは用途や目的に合わせて選ぶことです。例えば、看板やサインであれば視認性、自習室やオフィスであれば落ち着きや集中しやすさ、子ども向けの空間であれば楽しさや活発さなど、演出したい印象に合わせて配色パターンを検討するとよいでしょう。

【オフィスレイアウトお役立ち情報】おしゃれなオフィスのつくり方 7つのポイント

3. 中小規模オフィスの配色を考える

執務スペース

中小規模オフィスの新規開設やリニューアルといったプランニングでは、壁・床材の張り替え等内装工事から行う場合と、家具の入れ替えやレイアウト変更のみで行う場合とがあります。

内装材の色から選べた方が理想のイメージに近づけやすいということはありますが、家具の入れ替えのみであっても配色によるイメージの一新は可能です。

家具を中心としたオフィスの配色について考えてみましょう。

執務スペースの配色

執務スペースでは、デスクやフリーアドレステーブルが空間の印象を大きく左右します。特に面積の大きい天板は視界に入りやすく、その色によって空間全体の雰囲気も変わります。

業種や業務内容によって求められる環境は異なりますが、一般的には集中しやすく落ち着いた空間が好まれる傾向にあります。

ナチュラル木目やダーク木目、ホワイトなど、それぞれのカラーがどのような印象を与えるのか見ていきましょう。

ナチュラル木目カラー ナチュラル木目

ナチュラル木目天板デスクの執務スペース

木目の素材感が活きる、明るいトーンのナチュラル木目天板のデスク。執務空間に自然で和やかな印象を与えます。

床材も明るめのフローリングなどで質感やトーンが近似する場合には、デスクの脚部やチェアにホワイトやブラックなど無彩色を取り入れると印象が引き締まり、木目の質感を引き立たせることができます。

ダーク木目カラー ダーク木目

ダーク木目天板デスクの執務スペース

暗いトーンのダーク木目天板のデスク。執務空間に重厚感と落ち着いた印象を与えます。

狭いスペースであれば、空間の上部にあたる壁や天井のトーンを明るめに、床は暗めにして重心を下げると、圧迫感を抑えながら、空間に奥行きを感じさせやすくなります。

ホワイト天板 ホワイト

ホワイト天板デスクの執務スペース

光を反射し空間が明るく見えるホワイト天板のデスク。執務空間に清潔感とすっきりした印象を与えます。

無彩色でのモノトーン配色はもちろんのこと、どのような色相、トーンの色とでも合わせやすいため、テーマカラーを強調したい場合や、多色使いの空間に統一感を持たせたい場合にも取り入れやすい色です。

ミーティングスペースの配色

会議室やミーティングルームでは、ミーティングテーブルが空間の印象を大きく左右します。特に面積の大きい天板は視界に入りやすく、その色によって受けるイメージも変わります。

また、円形や楕円形、長方形といった天板形状も、場の雰囲気づくりに影響する要素です。

ミーティングの目的や参加者に与えたい印象に応じて、色彩の持つ心理効果や形状の特徴を考慮しながら選ぶことが大切です。

それぞれのカラーがどのような印象を与えるのか、簡単に整理してみましょう。

ナチュラル木目カラー ナチュラル木目

ナチュラル木目天板のミーティングルーム

ナチュラル木目天板のミーティングテーブル。トーンが明るいほど空間に自然で穏やかな印象を与え、緊張感を和らげます。

橙や黄などの暖色と組み合わせると開放的な印象も加わり、親しみやすく話しやすい雰囲気づくりに適しています。

ダーク木目カラー ダーク木目

ダーク木目天板のミーティングルーム

ダーク木目天板の会議テーブル。暗く深いトーンは空間に冷静さと落ち着きのある印象を与え、暖色系の色みであれば温かみも感じさせます。

空間全体を中間色・濁色でまとめ、アクセントカラーでメリハリをつけると殺風景になりすぎず、落ち着きがありながらも、適度な緊張感を感じられる空間を演出できます。

ホワイト天板 ホワイト

ホワイト天板のミーティングルーム

空間全体が明るく見えるホワイト天板の会議テーブル。ミーティングルームにクリーンで軽やかな印象を与えます。

大勢が集まる会議室やセミナー会場でも、広さを感じさせる効果が得られるほか、多様な色相との組み合わせが可能なため、目的に応じてさまざまな色を組み合わせやすく、配色計画のベースとしても活用しやすい色です。

執務スペースと同様に、会議室やミーティングルームにおいても、空間の目的に合わせて色や素材を選ぶことが大切です。

4. オフィスリニューアルで迷ったら?

配色は、オフィスの印象や快適性を左右する重要な要素の一つです。しかし、実際のオフィスづくりでは、色彩だけでなく、レイアウトや家具、空間全体の統一感も考慮しながら計画を進める必要があります。

オフィス家具メーカーのアール・エフ・ヤマカワでは、オフィスの新規開設や移転、リノベーション、リニューアル、イメージチェンジまで、ご要望やご予算に合わせたオフィスプランニングをご提案しています。

オフィスリニューアルやレイアウト変更をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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